本状をもちまして、みなさまには、ブッシュ、ブレアを、そのイラクに対する違法な戦争と、昨年から今年のはじめにかけて世界で起きているできごとに対し、裁きの場に立たせる運動に関して通知するものです。ついては、みなさまに、3月27日に大阪で、28日に名古屋で、29日に東京で公聴会の開催に力を貸していただきたく、心からお願いするものです。
イラク侵攻は、文明の発祥地・メソポタミアでの2,200万人のイラク人に対する長く激しい空爆の終わりに過ぎなかった。イラクでの犯罪の調査には時間的尺度が重要だ。米英その他の国々が最初の攻撃を始め、組織的にイラクの人命を奪い、生活に必要な基本的設備を破壊したのは、1991年の1月半ばから3月にかけてだ。それ以降、米英の航空機とミサイルは2つの飛行禁止区域で目標を攻撃し続けた。
侵略国は劣化ウラン弾という非情な武器を使用し、おそらく2,000トンが用いられた。広大な地域が猛毒で汚染され、特に人口が密集する都市圏が汚染された。放射性物質が直ちに回収・処理されない限り、劣化ウラン弾は何十億年もの間、人々の健康と命への脅威として残る。このような重大な戦争犯罪が何ら責任追及なしに見過ごされれば、国際社会の法的・道徳的秩序は損なわれる。
米国はパンドラの箱を開いた。世界中でますます敵意ある反応を引き起こしつつ、イラクでは完全な無政府状態を、中東地域とその周辺では不安定を生み出すだろう。5月1日のブッシュの「勝利」宣言後、あまり激しくない戦闘が続いた。占領者はいかなるレベルの安全保障も確立できなかった。イラクへの攻撃は国際テロに大きなはずみを与え、義勇兵とテロリストはイラクへの潜入を始め、イラクは無法国家となった。
米英軍への攻撃は何十人もの兵士を殺害し、8月以降は他の標的にも破壊力の大きな爆撃が行われた。8月19日にはバグダッドの国連施設への大規模な爆撃で20人が殺害され、国連事務総長特別代表も犠牲になった。この攻撃は戦後秩序確立の支援に来た組織に対して行われた。聖なる都市ナジャフで100人以上の人々を殺害した爆撃は、過激派たちが対米協力者と見なすシーア派の聖職者に向けられた。
ゆっくりだが確実に戦争の指導者たちの欺瞞(ぎまん)と嘘が明るみに出ている。米英政府は国連の調査団が発見していないもの、すなわち一方で米英が大量に所有し、イラク打倒のために使用した「大量破壊兵器」をサダム・フセインが保有していると主張したが、その証拠は偽りか大きな誇張にすぎない。イラクの脅威の本質を西側諸国へ誤って伝達したブレア首相の役割についての議論が激しさを増す中で、苦境に陥ったブレアはキャンベル報道・戦略局長を解雇した。
米国のメディアはサダムを悪の化身として描き、同時多発テロのスケープゴートに仕立て上げたが、後に米国国民の多くはそれが大統領の口から出た嘘だと気づいた。その一方で（CIAによると）イデオロギーや政治の不一致のため、フセインとアル・カイダの活動上の接点はないとされた。しかし一般の人々の怒りはささやかだった。米国人は英国人より忘れっぽいようだが、イラク戦争の高い費用にはすでに反発し始めている。
イラク攻撃への準備期間に起こった最も印象的な現象は、強力な平和運動の出現だ。現代の侵略戦争はどれ一つとして、これほど全世界的に非難されなかった。何百万人もの人々が抗議のためにワシントン、東京、ベルリン、テヘラン、パリ、その他の都市へ集まった。ブッシュは世界中の怒れる市民にとって「世界の怪物」になった。平和運動の歴史上、かつて、このように世界中の人々が結集したことはなかった。ベトナム戦争反対運動でも核兵器開発競争反対運動でも、なかったことである。
この抗議運動はまた反戦運動と社会正義、そして反グローバル化運動をますます強く結びつけた。イラク国際戦犯民衆法廷、米軍基地反対運動、来たるべき「世界社会フォーラム」、近づきつつある2004年の米国大統領選での「世界からブッシュへの『No』」キャンペーンなどの企画は地球規模での大衆運動の力を表す。この中で、独立した民衆法廷で戦争を煽った人々を合法的に起訴しようとするプロジェクトが急速に発展している。このプロジェクトはさらなる侵略戦争、大量殺戮、そして放射性物質兵器の使用防止を目的とし、注目される。
国際刑事裁判所(ICC)はつい最近設立された。2003年4月に裁判所の初代主任検察官に選出されたオカンポ氏はイラクで犯された人道に対する罪、戦争犯罪、世界平和への妨害、そして多くの国際条約・国際規範違反から目をそらしてはならない。しかしイラクに関するICCの法的基盤は限られている。オカンポ氏は最近のインタビューで「ICCが管轄権を持つには、戦争犯罪、人道に対する犯罪、大量殺戮がローマ規約の締約国の領域内で行われたか、締約国の国民によって行われなければならない」と述べている（2003年8月のMoveOn Bulletin http://www.moveon.org/参照）。
ICCは普遍的な管轄権は持たない。現在、ICC規約の締約国は91カ国だが、問題はイラクも米国もその中に含まれていないことだ。オカンポ氏は何もできない。彼はすでにイラクにおける米国主導軍の兵士に関して何百という苦情を受け取っている。そのうち英軍兵士については、当事国である英国が調査を渋るか、調査ができないと判断された場合はICCは行動を起こすことができる。
ブレア首相やフーン国防相が起訴される可能性がある一方で、ブッシュ大統領やラムズフェルド国防長官が自由の身となるのは容認できない。これが人権団体と法律家が行動を起こそうと決めた数多くの理由の一つであり、ついに5カ国の弁護士と反戦団体がブッシュとブレアを人道に対する罪で起訴する国際的な運動となった。
イラク国際戦犯民衆法廷は2003年3月、日本の「ブッシュ・ブレアを起訴する運動」やトルコ国際法廷プロジェクトによって提案され、2003年夏、ヨーロッパや中東の反戦団体やNGOが開いたジャカルタとブリュッセルの会議で賛同を得た。ブリュッセルで結成された創始者委員会はバートランド・ラッセル財団の支持を得、5カ国で数千人の個人と数十の反戦運動、約200の団体の支持と協力を得ている。
ニューヨークその他の米国の都市、ロンドン、ブリュッセル、広島、東京その他の日本の都市、イスタンブール、ハイデルベルクやその他のドイツの都市で法廷審理を計画中で、コペンハーゲン、ブエノスアイレス、モンテレイでも行われ、最終審理はアラブ地域の大都市で開かれる予定である。
広島の法廷では、1991年以降イラクで使用された劣化ウラン兵器によるイラクの人々と将来の世代への影響、および、1990年～2003年に乳幼児や女性を中心に約200万人が死亡する原因となった米英による国連制裁悪用の問題が扱われる。2003年10月のドイツ・ハンブルクでの世界劣化ウラン兵器会議は、民衆法廷および広島法廷への支援を約束した。
私たちは、恐ろしい犯罪者を裁きの場に立たせることを宣告していますが、今こそ、それを実行するときが来ました。一人でも多くの支援をお願いします。広島では、着々と準備が進んでいます。とくに、大阪、名古屋、東京の支持者のみなさまには、イラクにおけるジェノサイドをその目で目撃してきたハンス・クリストフ・グラーフ・フォン・スポネック元国連事務総長補佐、国連イラク人道活動調整官の講演会（詳しくは添付のちらしをご参照ください）の開催ができる可能性についてご教示いただきたく、お願いする次第です。
以下のような協力をお願いできる方はお知らせください。
どうか、ブッシュ、ブレアを裁くことへのご協力をお願いします。
敬具
AIBBイニシエーター
クリス・シェラー
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